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ブックリヴュー:『魂の退社 会社を辞めるということ。』(稲垣えみ子 著、東洋経済新報社 刊)

 編集記者として大手新聞社での勤務経験のある著者による、2016年初版の本。50歳で退職するまでの経緯、仕事と会社と人生、節電による家事や日常生活などが、柔らかく、読みやすい文体でつづられている。知的で、センスがよく、素敵な生活をされているなあと、著者の他の本を読むたび、いつも感心するが、久しぶりに読んだ本書(今回は電子版で)でも改めて思った。新聞業界の人たちにエールを送る内容であるとも感じた。私からは次の方々へお勧めしたい一冊だ。何かしらのかたちでの退職を控え、新しいスタートをきる準備をしている、大企業で働く人、公務員の職の人、若い頃から何十年も同じ組織や業界に従事する人などだ。著者は「会社は修業の場であって、依存の場じゃない」という。また、「原稿料というものは天文学的に安い」業界の勤務者は、職種を問わず、ご一読を、と思う。雇用されていた組織を去って、組織に属さず生きる人の言葉の力は大きいのだ。

ISBN:978-4-492-04594-7
Cコード:0036
四六判 212ページ
定価:1,400円+税
発行:東洋経済新報社