ムーヴィーリヴュー:『沈まぬ太陽』(監督 若松節朗)

『沈まぬ太陽』
監督:若松節朗
出演:渡辺謙、三浦友和、松雪泰子、鈴木京香など
2009年
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 1985年に起きた日本航空123便墜落事故を題材に、組織の腐敗と権力闘争、主人公の苦悩と葛藤を描いた山崎豊子原作の作品。主人公の恩地元は、「国民航空」の組合委員長として正義を貫いた結果、会社と対立し、10年にも及ぶ海外勤務を命じられる。帰国後は、事故の調査委員会の事務局長となり、様々な困難に直面しながら、遺族のために戦い続ける。中年以上の人は御巣鷹山ジャンボ機墜落事故を思い出し、勤務者や請負で仕事をやっていたら、人や組織にお仕えするとはどういうことだろう、などを考える作品だ。さらに、忖度なしに組織はあり得ないとも。昔に読んだ原作も泣きながら読んだが、本作も涙がとまらない作品だった。演技がうまい役者が勢ぞろいし、撮影には莫大な予算が組まれたこともよくわかり、制作された2009年からの時代の移り変わりに対しても切なくなった。