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ブックリヴュー:『WORLD WITHOUT WORK AI時代の新「大きな政府」論』(ダニエル・サスキンド 著、上原裕美子 訳、みすず書房 刊)

 イギリスの経済学者が、テクノロジーが形作る、仕事の未来を考察した本。著者の懸念は「テクノロジー企業の経済的支配力ではなく――経済的支配が甚大かつ拡大しているのは事実であるとしても――むしろ彼らの政治的支配力だ」。テクノロジーが、人間のかわりに仕事をする日が到来すると、人間は人生の新しい意味を探し求めるのだろう。国家はどのような準備をする必要があるのか。政治、大企業、教育などのあり方も考えさせられる。とはいえ、市民は溺れない波に乗るのみ、というのが私見だ。その波に乗るための健康と体力と気力の維持のための生活収入を得るため、今を生きるしかないのである。

ISBN:978-4-622-09070-0
Cコード:0033
四六判 400ページ
定価:4,200円+税
発行:みすず書房