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ブックリヴュー:『弘兼流 60歳からの楽々男メシ』(弘兼憲史 著、マガジンハウス 刊)

 団塊世代の、キャリアのある漫画家がまとめた料理と食についてのエッセイ。2017年初版。著者の日常生活には、プロダクションでのまかない、人が集まったときなど、料理が組み込まれている。男性であり、大御所の漫画家の先生である。そんな著者が提案する60歳からの料理のルールは4つ。「ラクに楽しむこと。」「健康的な料理を作るということ。」「材料を無駄にせず、時短で作る。」「料理はエンターテインメント。」だ。本書では、このルールに沿った、ポピュラーな家庭料理、市販のものを活用した料理、食通でワイン好きだからこそのアイデア料理、調理の基本などにふれる。料理には「仕事のレベルを高めるために必要な要素がすべて入っている」ので、若いビジネスマンにも、長年の仕事で「企画力」や「予算管理とコスト追求」、「美的センスや進行プラン」が培われている60歳にも良いという。料理に慣れてくれば効率よくできるようになるとのこと。うまくいきますようにという気持ちと、私見では、定年退職後に何もやることがない家族と同居の人の場合、練習も兼ねて料理を趣味で始め、慣れてきたら、そのお宅の台所を長年司っている人たちにお願いし、買い物から調理、後片付けまでの作業をやらせてもらうのがよいと考える。「台所に夫(または父)が立たれるとちょっと」と思う妻や娘は大勢いる。生活の要になる水場の主は強いのだ。本書は、60を迎えるだいぶ前に読まれることをお勧めしたい。

ISBN:978-4-8387-2935-7
Cコード:0095
B6変型判 216ページ
定価:1,000円+税
発行:マガジンハウス