Cコード:0034
四六判 512ページ
定価:3,500円+税
発行:日経BP 日本経済新聞出版
2023年12月6日にスタートした、本の紹介ブログサイト「16 pages(16ページ)」です。平日の午前は、公開日前後に発売の書籍や雑誌などの情報を、午後は、生活や仕事に役立つ本の書評を公開します。土曜日と国民の祝日・休日は、出版社、書店、図書館などが舞台、または、本の仕事に就く人の物語や、小説が原作の映画の紹介を、日曜日は、文学やアートの本の書評を掲載します。一部のテキストや画像には、Amazonのアフィリエイトリンクが含まれます。1人の管理人が、サイトの制作・運営、本や映画作品の選定、記事作成、編集を行っています。
エッセイストの著者による、考え方や書き方、読書、SNSとの付き合い方まで、思考のレッスンをまとめた本。著者は、エッセイを「パーソナルな心の様子を描いた文章」と捉え、書くことによって「自分はどんな人間になりたいか」に注力することを勧める。著者の本は、『本業失格』の刊行以降、女だてらに「松浦さんのような生活ができたら」と思いながら、ほぼ全作読んでいる。気づきも多い。むつかしい言葉を使わず、子どもからお年寄りの誰が読んでも、わかりやすく書かれていることも、人気のエッセイストであり続ける秘訣と感服する。そして、本作は大変刺激になった。効率重視の世の中で、「なにかになるための生き方」はしないのが得策かと。心の小さな動きを感じ、それを書き続けることが大切なのである。
『ノクターナル・アニマルズ(原題:Nocturnal Animals)
監督:トム・フォード
出演:エイミー・アダムス、ジェイク・ギレンホール、マイケル・シャノンなど
2016年
Amazon Prime Video
音信不通だった小説家志望の元夫が書いた『夜の獣たち(ノクターナル・アニマルズ)』を受け取った女性が主人公の作品。物語は、彼女の現実と、家族でドライヴ旅行に出かけたトニ―という男の休暇が暴力的な方向へ向かう話の、2部構成で展開する。アートギャラリーのオーナーとして成功しているスーザンは、現在の夫ハットンとは満たされない生活を送っていた。そんな折、かつての夫エドワードが彼女に捧げたという小説に没頭し、エドワード、ハットン、母親との関係、自身の芸術家としての才能を封印したことなどを回想する。映画は、スーザンはエドモンドに、小説の絶賛を伝えるため、会う約束をするが、彼は姿を現さず、1人レストランで待つ、というシーンで終わる。本作は、オースティン・ライトの『Tony and Susan』(邦訳『ノクターナル・アニマルズ』早川書房 刊)が元になっているという。人間は、復讐のために生きているのだろうか。エドモンドはスーザンに捨てられるかたちで別れていたのだ。そして、いい年になり、子どもがいたとしても、女性は母親からの呪縛から抜けられないらしい。なかなかダークな作品であり、暗い状況にいる人などは、さらに落ち込めて、逆に爽快な気分になるかもしれない。
料理家がまとめた、忙しい時も簡単に作れるスープと煮込みの本。定番をはじめ、角煮、鳥と塩レモンのタジン、北欧風肉団子のクリーム煮、アヒージョ、ポタージュバリエ、桃のスープ、栗のポタージュスープなどの約70品や、だしの取り方を紹介する。レパートリーが増えそうなアイデアが詰まった1冊。
アメリカの医学博士で、第19、21代アメリカ公衆衛生局長官を務めた著者による、2020年刊行の『Together: The Healing Power of Human Connection in a Sometimes Lonely World』の邦訳本。人とのつながりの大切さ、孤独が健康に及ぼす影響、コミュニティの重要性などに触れている。また、毎日大切な人たちと過ごす、相手に全神経を集中させる、孤独を受け入れる、助け、助けられる、これら4つは互いを守るための方法だという。私見では、孤独に対するアメリカらしい見解という印象が。孤独をネガティヴなものと捉えている人には、安心できる内容の本。