カテゴリー: 平日版

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    ブックリヴュー:『情報・通信・メディアの歴史を考える』(石橋悠人 編集、石井香江 編集、貴志俊彦 編集、山川出版社 刊)

     情報・通信・メディアの歴史を知り、その役割や可能性を考えることは、現代・未来社会に大切であるという、研究者らがまとめた本。情報通信は、便利な要素がある一方、負の側面もある。また、政治経済や戦争、文化、歴史の転換点を生み出す要因にもなる。歴史を通し、「見えない労働者」と「画像送信」という技術と未来社会はどのように向き合っていくかなどの案もつづられる。通信技術の恩恵を受ける、現代に生きるすべての人が、高校のカリキュラムに加えられた「情報」分野の歴史を、本書のような書籍で勉強できる機会があればよいのに、と常日頃から思っている私である。1人でも多くの人に知ってもらえればと、今回とりあげた。

    ISBN:978-4-634-44523-9
    Cコード:0022
    B6変型判 212ページ
    定価:1,800円+税
    発行:山川出版社
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    ブックリヴュー:『THINK AGAIN 発想を変える、思い込みを手放す』(アダム・グラント 著、楠木建 監修・訳、三笠書房 刊)

     2021年に出版された、アメリカの組織心理学者による『Think Again』の、22年発売の邦訳本。思い込みや過信から生まれる誤りを理解したり、更新したり、発想を変えたりすることを提案した内容の本である。著者によると、私たちは、牧師、検察官、政治家、これら3つの異なる職業の、自分の信念は絶対的なものであり、考え直すに至らないといった思考法に陥りがちだという。そこで、仮説、実験、結果、検証する、科学の原則に従う考え方を取り入れることを勧めている。次に、自信と謙虚さについてふれ、自分の盲点に盲目になったり、知ったかぶりしたりすることなどに注意を促す。また、他人の心を開いたり、相手の先入観や偏見を説得する技術、対立を恐れずに理性的に反論する方法などに言及する。本書の巻末には「インパクトのための行動」として「再考スキルを磨くための30の秘訣」がまとめてある。総じて、傲慢にも卑屈にもならず、謙虚に強く、考え直すべきということが書かれている。大変難しい技である。世界の力のある人たちは、このような思考法で、交渉や契約、時に征服と支配を繰り返しているのだろうというのが私見だ。学びの多い1冊である。

    ISBN:978-4-8379-5812-3
    Cコード:0030
    四六判 424ページ
    定価:2,000円+税
    発行:三笠書房
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    ブックリヴュー:『武器化する嘘  情報に仕掛けられた罠』(ダニエル・J・レヴィティン 著、パンローリング 刊)

     アメリカやカナダなどで活躍する神経科学者で認知心理学者の著者が、2016年に発表した『A Field Guide to Lies: Critical Thinking with Statistics and the Scientific Method』の邦訳本。誤報、擬似事実、事実や真実の歪曲と、信頼できる情報はどう区別すればよいのかという内容だ。誤解を招く発表、統計やグラフ、報告書などを鵜呑みにせず、常に批判的な目線で吟味することが大切だという。著者の言うことは正しく、私も常日頃から気をつけている。そして、情報の信憑性を決めるのは難しいと感じる。疑うには、何かしらの、とっかかりが必要なのだ。さらに、あらゆる種類の権威、メディアや媒体、広告代理店、通信、コンピュータ、インターネット自体の、歴史や構造なども知らないと、発信者(社)の思う壺とも考える。一方で、情報への疑いが深すぎると、社会で孤立しやすくなるのはたしかだ。これを避けるために、人によっては、フェイクの情報とわかっていても、それを信じることがあるのではないかとも。情報化社会になり、それにすっかり慣れてきたが、何かが違うと少しでも感じている方は、ぜひ本書を読んでみて欲しい。

    ISBN:978-4-77-594179-9
    Cコード:0036
    文庫判 341ページ
    定価:1,800円+税
    発行:パンローリング
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    ブックリヴュー:『生きて行く私』(宇野千代 著、KADOKAWA 刊)

     1996年に98歳で生涯を閉じた、大正から平成にかけて活躍した、作家、編集者、着物デザイナー、実業家の著者が、84歳のときに毎日新聞に連載した自伝的小説。山口県岩国市の生家のことから、作家になった経緯、多くの恋愛や結婚遍歴、経営していた会社の経営と倒産など、波乱万丈、かつ、ひたむきで、底抜けに明るい著者の、それまでの人生が描かれる。行動しなければ、景色は見えず、さらに、成功も失敗もしないということがよくわかる。また、意中の人ができたら、何もかも捨ててすぐさま動いたほうが良いのかもしれない、などまで考えた。お腹を抱えて笑う箇所も多く、これもまた、活動的な著者ならではかもしれない。恋愛、結婚、家族、仕事、お金などの悩みがある方は、女性も、男性も、ご一読を。前向きな気持ちになれる。

    ISBN:978-4-04-108602-5
    Cコード:0193
    文庫判 384ページ
    定価:760円+税
    発行:KADOKAWA
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    ブックリヴュー:『1000万円を貯めた女子100人がやったこと、やめたことリスト』(永田雄三 著、日経BP 刊)

     生命保険会社勤務を経て、5000人以上の女性にお金の学びの場を提供している金融・投資コンサルタントがまとめた本。1000万円の貯金を果たしたり、もう少しで手に届きそうだったりする教え子100人に、「本気で試してみたけど、効果がなかった」ことや、「やってみたら、本当にお金が貯まった」ことなどを調査したという。読者対象は、勤務者、かつ、「男性の人生より複雑な」女性、しかも、若い方のようである。しかし、全く若くなくても、男性でも、独身、既婚関係なく、お金に関する何かで気にすることがあれば、本書は有益だ。お金の勉強の本に書かれている一般的なことが書かれているが、私にとっては、学びがあり、検討中だったことなどを思いだした。著者は「お金」の勉強をすればするほど「お金」が増える」と言及する。肝に銘じよう。

    ISBN:978-4-296-00097-5
    Cコード:
    0033 A5判
    280ページ
    価格:1,600円+税
    発行:日経BP
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    ブックリヴュー:『「人生が充実する」時間のつかい方 UCLAのMBA教授が教える“いつも時間に追われる自分”をやめるメソッド』(キャシー・ホームズ 著、松丸さとみ 訳、翔泳社 刊)

     時間の使い方と幸福度の関係性が専門の社会心理学者で、UCLAアンダーソン経営大学院教授が、2022年に発表した『Happier Hour』の邦訳本。1日24時間の中で生きる人間が、「時間貧乏」の自身に向き合い、時間のとらえ方や使い方を変え、人生を改善する方法が書かれている。具体的には、「最適な可処分時間を考え」た上で、「時間的余裕を感じる方法」「最も賢明な時間のつかい方」「やる気を高める方法」「喜びを常に更新する方法」「幸福度を上げ、成果を出す」方法、「取捨選択する方法」「スケジュールの最適化」などだ。これらを達成するための14のエクササイズの紹介や、日常生活での助言も多数ある。著者の「やることを減らしても、時間は増えない」という言葉に納得した。本当にそうなのである。また「人生の終わりを想像してみる」という案があるが、これに関しては、ただの生き物として、死に向かって生きていることを自覚し、行動することこそ、効率的、かつ、幸せな時間の使い方をするのでは、などを考えた。著者の提案は、すぐに取り入れられることも多い。「時間貧乏」から脱したい人は一読をお勧めしたい。

    ISBN:978-4-7981-8069-4
    Cコード:0033
    A5判 320ページ
    価格:1,800円+税
    発行:翔泳社
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    ブックリヴュー:『邱飯店交遊録 私が招いた友人たち』(邱永漢(きゅうえいかん) 著、中央公論新社 刊)

     2012年に88歳で亡くなった台湾出身の実業家、作家、経済評論家、経営コンサルタントだった著者は、食道楽で、友達を自分の家へ招くことが好きだったという。本書は、1955年第34回直木賞受賞前の54年から29年間の、自宅の料理「邱飯店」でのもてなしや、招待した人たちについてつづった、1983年発行『邱飯店のメニュー』を改題した本である。登場する人は、佐藤春夫と檀一雄にはじまり、日本史に名を残すような人や、その道の一流の人ばかりが名を連ね、驚く。出てくる料理は、高級食材による凝った調理法のものから、ひと工夫のある家庭料理など、どれもおいしそうだ。読者が料理をする人なら、食材や方法など、何かを取り入れたいと思うに違いない。私の中では、実業家と投資家のイメージが強い著者だった。食に興味があるからこそ、ビジネスや投資で成功できるのかもしれないと思った。

    ISBN:978-4-12-207257-2
    Cコード:1195
    文庫判 288ページ
    定価:900円+税
    発行:中央公論新社
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    ブックリヴュー:『自分のスキルをアップデートし続けるリスキリング』(後藤宗明 著、日本能率協会マネジメントセンター 刊)

     DX(デジタルトランスフォーメーション)に関する、リスキリングの重要性が注目されているそうだ。「新しいことを学び、新しいスキルを身につけ実践し、そして新しい業務や職業に就くこと」、リカレントとは異なり「その先に仕事が直結している」のがリスキリングだ。本書は、この手法を広める活動をする著者が、自身のこれまでのキャリア、リスキリングにたどり着いた経緯、企業や個人が行える手法などをまとめている。2014年にオックスフォード大学のマイケル・オズボーン教授らが発表した論文「The Future of Employment」に衝撃を受けたという。今後増えていく技術的失業を解決する一助になるため、テクノロジー分野で仕事ができるようになりたいと願った。一見、日本のエリートコースを歩んでいるように感じるが、ご苦労もずいぶんされている。だからこその細やかさが伝わる実務書である。

    ISBN:978-4-8005-9047-3
    Cコード:2034
    四六判 336ページ
    定価:1,850円+税
    発行:日本能率協会マネジメントセンター