カテゴリー: 平日版

  • ,

    ブックリヴュー:『本物の交渉術 あなたのビジネスを動かす「パワー・ネゴシエーション」』(ロジャー・ドーソン 著、小山竜央 監修、島藤真澄 訳、KADOKAWA 刊)

     イギリス出身のアメリカ人で、交渉術の講師をやっている著者がまとめた『Secrets of Power Negotiating』の邦訳本。影響力を得るための戦略、交渉スタイルの理解、ビジネスや個人的な状況における交渉スキルを向上させるための方法が書かれた本だ。もともとは、1987年に、カセットプログラムとして発売されたものだという。交渉は、人生の様々な局面で応用できるスキルで、価格のほか、価値に焦点を当てることが重要と説く。また、相手の要求を理解することは極めて大切とも。私見では、交渉術は、持って生まれたものにも感じていて、赤子の頃からその能力に長けた天才的な人はいる。もしも、凡人、かつ、自分の要求を勝ち取れていない人生を歩んでいないのであれば、ロングセラーの本書を読んだ方がよいだろう。計算に強く、狡猾と紙一重の賢さ、優位に立てる肩書や社会的立場も得た方がよい。

    ISBN:978-4-04-605505-7
    Cコード:0034
    四六判 456ページ
    定価:2,200円+税
    発行:KADOKAWA
  • ,

    ブックリヴュー:『自分で地域で 手づくり防災術:土砂崩れ、洪水、地震に備える』(農文協 編集、農山漁村文化協会 刊)

     国や公共のインフラに頼らず、自給や地域の力を活用して、土砂災害や豪雨災害、地震などに備える、40の方法をまとめた本。農村には、自然の力を生かし、災害を小さくする知恵や技が存在するという。こういうアイデアがあるのかと感動を覚える本だ。個人レヴェルでは、PART1の「電気・トイレ・ふろ・食べもの」が役立つだろう。とはいえ、普段やらないことをいざという時にできるかは不明。トイレについては、私の場合、携帯トイレを持っているが使う練習をしたことがない。しかし、やったほうがよいのだ。また、夫婦2人の1週間分の排泄物は33.6kgとのことなので、それなりの準備は事前にしておかなければならない。PART4の「早期避難で生き抜く」は、その時がきたら思い出せるかわからないが、キーワードをここに記しておく。防災マップやハザードマップ、井戸の活用などだ。生きるか死ぬか、色々と考えさせれる1冊。

    ISBN:978-4-540-23166-7
    Cコード:2077
    B5判 128ページ
    定価:2,000円+税
    発行:農山漁村文化協会
  • ,

    ブックリヴュー:『記者のためのオープンデータ活用ハンドブック』(熊田安伸 著、新聞通信調査会 刊)

    ジャーナリストがまとめた、国や自治体の事業、公益的な法人、民間企業、不動産、個人、乗り物や事故、サイト、政治と資金などを調べるためのテクニックの本。オープンなデータで、極力費用をかけず、素早く情報収集するための方法が書かれている。調査報道に必要なアンケートや、OSINT(Open Source Intelligence)についてもつづられる。歴史ある媒体の記者やデスク、もしくは、フリージャーナリスト向けの本だと感じた。しかし、その手の職業でなくても、人は、生きていれば、まるで学生時代のように、何かについてリサーチしなければならない時期や場面に遭遇する。本書を何度か読んでおけば、万が一の時の備えになるのではないか。本体価格は700円。「一家に1冊」の本である。

    ISBN:978-4-907087-24-1
    Cコード:3000
    四六 237ページ
    価格:700円+税
    発行:新聞通信調査会
  • ,

    ブックリヴュー:『考えの整頓』(佐藤雅彦 著、暮しの手帖社 刊)

     クリエイティブディレクターで映像作家の著者による、日常の不可解さを独自の分析で考察した27篇を収録した、2011年初版の本。もっと早く出合いたかった1冊だ。ふんわりとした文体だが論理的、そして、細やかな着眼点が非常におもしろい。エッセイに慣れた人で、思考を整理する方法や、問題解決能力、創造性、コミュニケーション力の向上を強化したい人にお勧め。

    ISBN:978-4-7660-0171-6
    283ページ
    発行:暮しの手帖社
  • ,

    ブックリヴュー:『混ぜるだけサラダとさっと煮るだけスープ』(河井美歩 著、主婦と生活社 刊)

     料理教室を主宰している著者がまとめた野菜料理の本。葉茎菜(ようけいさい)、果菜(かさい)、根菜、キノコ、豆などを使った約150種類のレシピの紹介をする。気軽な素材を使った調理方法と写真に圧倒される本だ。私が最も感動したのは、「水菜と塩昆布の即席スープ」である。細かく切った水菜、塩昆布、塩を器に入れて、熱湯を注ぐだけのものだが、目から鱗の発想だ。塩昆布は常備していないのだが、水菜は週の何日かは冷蔵庫に入っていることが多いので、普通の昆布を使って応用したい。本書に触れた人は、毎日の生活取り入れられるアイデアをもらえるはずなので、料理をする人は、ご一読を。

    ISBN:978-4-391-15451-1
    Cコード:0077
    A5判 128ページ
    定価:1,350円+税
    発行:主婦と生活社
  • ,

    ブックリヴュー:『エッセイストのように生きる』(松浦弥太郎 著、光文社 刊)

     エッセイストの著者による、考え方や書き方、読書、SNSとの付き合い方まで、思考のレッスンをまとめた本。著者は、エッセイを「パーソナルな心の様子を描いた文章」と捉え、書くことによって「自分はどんな人間になりたいか」に注力することを勧める。著者の本は、『本業失格』の刊行以降、女だてらに「松浦さんのような生活ができたら」と思いながら、ほぼ全作読んでいる。気づきも多い。むつかしい言葉を使わず、子どもからお年寄りの誰が読んでも、わかりやすく書かれていることも、人気のエッセイストであり続ける秘訣と感服する。そして、本作は大変刺激になった。効率重視の世の中で、「なにかになるための生き方」はしないのが得策かと。心の小さな動きを感じ、それを書き続けることが大切なのである。

    ISBN:978-4-334-10098-8
    Cコード:0095
    四六変型判 232ページ
    定価:1,600円+税
    発行:光文社
  • ,

    ブックリヴュー:『孤独の本質 つながりの力』(ヴィヴェック・H・マーシー 著、樋口武志 訳)

     アメリカの医学博士で、第19、21代アメリカ公衆衛生局長官を務めた著者による、2020年刊行の『Together: The Healing Power of Human Connection in a Sometimes Lonely World』の邦訳本。人とのつながりの大切さ、孤独が健康に及ぼす影響、コミュニティの重要性などに触れている。また、毎日大切な人たちと過ごす、相手に全神経を集中させる、孤独を受け入れる、助け、助けられる、これら4つは互いを守るための方法だという。私見では、孤独に対するアメリカらしい見解という印象が。孤独をネガティヴなものと捉えている人には、安心できる内容の本。

    ISBN:978-4-86276-298-6
    Cコード:0030
    四六判 440ページ
    定価:2,400円+税
    発行:英治出版
  • ,

    ブックリヴュー:『魔術師が贈る55のメッセージ』(パンローリング 著 刊)

     トップトレーダーたちの「座右の銘」をまとめた本。本書に数多く出てくる「トレード」や「トレーダー」を、「仕事」「人生」に置きかえて読むと、励みになるという。本来は、マーケットの土俵に立つ人々が読む本なのかもしれないが、人間はどんな場面でも、感情をコントロールし、謙虚に、一生懸命に生きることが大切だと思わずにいられなくなる。

    ISBN:978-4-77-5980019-9
    Cコード:0036 B6判
    72ページ
    定価:1000円+税
    発行:パンローリング