カテゴリー: Editor’s Choice 既刊書評

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    ブックリヴュー:『「もう歩けない」からが始まり 自衛隊が教えてくれた「しんどい日常」を生きぬくコツ』(ぱやぱやくん 著、扶桑社 刊)

     元陸上自衛官の著者が、自衛隊員が行っている自己管理法、サバイバル術、メンタルコントロール、組織論、思考法をまとめた本。著者は、退職後、在籍時代の数多くの教えは素晴らしかったと実感し、それを広めたいと考えたという。苦しい訓練、厳しい規律、過酷な任務の中で生まれた知恵は、平常時から有事が起きた時まで、生きる上で、一般市民の生活にも役立つ。また、これから隊員になりたい人や、現・旧自衛官の身近な人は、隊員の日常の一部がわかるだろう。個人的には「「内臓の強さ」は生き物としての強さ」「疲れてくると人は密集する」「会話に暗号を用いる」「方言への指導」「死んでいないから生きている」「胸に手を当てる」などは、興味深いテーマだった。自分の生活に取り入れたいことも多数あった。自衛官の皆さま、ご苦労様ですという気持ちになる本でもある。

    ISBN:978-4-594-09606-9
    Cコード:0095
    四六判 248ページ
    定価:1,400円+税
    発行:扶桑社
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    ブックリヴュー:『見えない人間』(ラルフ・エリスン 著、松本昇 訳、白水社 刊)

    アメリカの作家、ラルフ・エリスン(1914~94)による、52年刊の小説『Invisible Man』の邦訳本。地下生活を送る主人公の青年の「僕」が、地下生活にいたるまでの過去を回想し、物語が進む。「僕」は、奨学金で入学した大学を退学になったり、働いていた塗料工場で事故にあったり、政治団体に参加したりなど、様々な経験をする。そこには、常に人種差別が存在し、トラブルが続く。著者も「僕」もアフリカ系の人である。そして題名の「見えない人間」とは、当時のアメリカの白人社会における黒人だ。「僕」は白人社会と黒人コミュニティ内でのアイデンティティを模索する。そして「見えない人間だって、社会的な責任として果たす役割があるかもしれないのだから」とエピローグで語る。しかし、本書の最後の一文は「君たちに代わって声を落として語っているのに、そのことに誰も気づいてくれない」。はるか昔の学生時代に、原書、及び、古本屋で購入した、58年刊の故橋本福夫さんの13章まで訳されたものを読んだ。松本昇さん版は初読である。現代的で読みやすい。


    ISBN:978-4-560-07231-8
    Cコード:0297
    新書判 420ページ
    定価:2,400円+税
    発行:白水社


    ISBN:978-4-560-07232-5
    Cコード:0297
    新書判
    396ページ
    定価:2,300円+税
    発行:白水社

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    ブックリヴュー:『ひとりビジネスの教科書 Premium 自宅起業でお金と自由を手に入れて成功する方法(佐藤伝 著、学研プラス 刊)

     習慣とひとりビジネスの専門家による、「自宅起業」のやり方の本。ビジネスのアイデア、集客、SNSマーケティングなど、起業の基本がまとめられている。本書を読むと、起業をしたいが何から始めたらいいかわからない、好きなことを仕事をしたい、副業して稼ぎたい、と考えている人や、将来、稼いでいけるか不安に思っている人も、やってみようと気になるだろう。起業を検討している、また、起業後のビジネスがうまくいっていない場合は、ご一読を。

    ISBN:978-4-05-406805-6
    Cコード:0030
    四六判 288ページ
    定価:1,400円+税
    発行:学研プラス
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    ブックリヴュー:『頭が冴える!毎日が充実する!スゴい早起き』(塚本亮 著、すばる舎 刊)

     早起きが簡単にできる方法が書かれた本。著者は、高校時代、偏差値30台、退学寸前の問題児だったが、転機が訪れたことにより、早起きと勉強する生活を始めた。大学入学と卒業、さらに、海外の大学で心理学の修士課程を修め、帰国後は英会話スクールを設立し、実績をあげているという。本書は、著者の、高校からの学生時代の経験や、専門分野での知見を通し、「朝時間がもたらす劇的な効果」「仕組みで早起きするコツ」「早起きトリガー」「朝時間の活用法」「パフォーマンスを上げる生活習慣」をまとめている。早起きしたい人は、ご一読を。個人的には、周りで、80、90過ぎても元気な人は、若い頃から、早起き、かつ、早寝の生活をしていた人が多いように感じている。

    ISBN:978-4-7991-0777-5
    Cコード:0030
    四六判 192ページ
    定価:1,400円+税
    発行:すばる舎
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    ブックリヴュー:『GREAT LIFE 一度しかない人生を最高の人生にする方法』(スコット・アラン 著、弓場隆 訳、ディスカヴァー・トゥエンティワン 刊)

     カナダ出身で日本在住のライフコーチによる、人生を素晴らしいものに変えるための自己啓発書。「自制心」「目標と生産性」「健全な人間関係」「お金と自由」「粘り強さと立ち直る力」などの10の分野を100項目で構成している。原題は『100 WAYS FOR A GREAT LIFE』。著者は、20年以上の自己啓発の分野での経験を通じ、うまくいく秘訣に加えて、うまくいかない原因も究明した。それは、子どもの頃に設定された考え方が大人になっても無意識に影響し、進路を妨害していることだという。子どもの頃のマインド設定が、悪いほうに転んでいた場合でも、著者の案を1つでも2つでも続けたら、明るい未来が待っていることだろう。

    ISBN:978-4-79-932937-5
    Cコード:0030
    四六判 240ページ
    定価:1,600円+税
    発行:ディスカヴァー・トゥエンティワン
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    ブックリヴュー:『これで死ぬ アウトドアに行く前に知っておきたい危険の事例集』(羽根田治 著、山と渓谷社 刊)

     山岳遭難や登山技術、沖縄、自然、人物などをテーマに執筆活動する著者が、アウトドアで安全に身を守るための知識をまとめた本。山、動物、毒、川や海での、53件の死の事例を通して、最低限知っておいたほうがよいことが書かれている。かつてはアウトドア派で、現在は身体の都合でインドア派になった私には刺激的な1冊であった。体験しないと忘れることがたくさんある。自然の中で何かをやる場合、予め頭に入れておくことがあり、体力や体調、服装も整え、さらに自然に歯向かわないことは大切、ということだ。そして、もう一歩で死ぬところだった体験の記憶がよみがえった。アウトドアで亡くなった知り合いたちのことも思い出した。著者は、本書を読んだ人のために「オススメの本」を紹介している。アウトドアを楽しむ前にそれらを読んで勉強を。インドア派の人は、外で活動しない分、人間がコントロールできない自然の摂理に触れるために、ご一読を。

    ISBN:978-4-635-50048-7
    定価:1,400円+税
    発行:山と溪谷社
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    ブックリヴュー:『なぜか話しかけたくなる人、ならない人』(有川真由美 著、PHP研究所 刊)

     働く女性向けの著書が多い作家による、話しかけられる要素を持ってコミュニケーションスキルを高める方法が書かれた本。話しかけたくなる人がいる一方で、そうでない人がいる。話しかけられる人には、チャンスが増え、情報が入りやすい。また、理解されやすく、誤解されづらく、居場所を作れる。同性にも異性にもモテたり、仕事で評価されたり、自己肯定感も上がったりする、などのメリットがある。外見や、話のうまさ、仕事が優秀かどうかは関係なく、ポイントを押さえれば誰でも、話しかけられる人になるという。職場、趣味のサークル、同級生、初めてのパーティでの「キズナ」をつくる方法なども収録。性別や世代などは関係なく、多くの人が参考にできる内容である。最後に。著者は、背筋を伸ばすことにも触れていた。これは、私からもお勧めしたい、「バレエをやっていたのですか」「ダンサーですか」と、新しいコミュニティの場や、初対面の人によく聞かれるからである。そこから会話が始まる。残念ながら、どちらでもないのだが。

    ISBN:978-4-569-84753-5
    Cコード:0030
    四六判 208ページ
    定価:1,300円+税
    発行:PHP研究所
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    ブックリヴュー:『ビール・ストリートの恋人たち』(ジェイムズ・ボールドウィン 著、川副智子 訳、早川書房 刊)

     1974年に出版された、アメリカの作家、ジェームズ・ボールドウィン(1924-87)の『If Beale Street Could Talk』の邦訳本。70年代初頭のハーレムに住む若いカップル、ファニーとティッシュの物語である。ティッシュの妊娠から出産までが描かれる。ファニーがレイプの冤罪(えんざい)を着せられ、投獄されたことから、2人の生活は一変することになった。その昔の学生時代に、原文で読んだ小説だ。映画化されたことは知らずに本書を手にとった。人は、大多数と異なる特質を持っていたり、白人が作り上げた社会で異端だったりすると、差別、蔑みや揶揄(やゆ)などで苦しむ場合がある。少なくとも私にはそれがあり、20代はボールドウィン作品に救いを見出していた。彼は黒人でゲイだった。そしてアメリカ人だった。激しくない作風も気に入るところだった。優しい人がゆえに、60代の若さでこの世を去った人だとも思っている。人と違いすぎることで生きづらいが、小説を読む気力はあるという方には、ぜひ本書を読んでほしい。

    ISBN:978-4-15-209829-0
    Cコード:0097
    四六判 288ページ
    定価:2,200円+税
    発行:早川書房