Cコード:0011
四六判 368ページ
定価:2,600円+税
発行:白揚社
作家で古書売買史家、本人のソーシャルメディアによると、オーストラリアの大学で教鞭もとっている著者が、2017年に発表した『The Library: A Catalogue of Wonders』の邦訳本。本書のために実地調査し、古今の図書館の物語をつづった内容だ。図書館は蔵書のコレクションの場ではなく、本のある空間と人間の関係性がよくわかる。世界最古の口誦図書館が、おそらく、中央オーストラリアで数万年かけて形成されたこと、15世紀後半から16世紀初期のカトリック司祭のデジデリウス・エラスムスの「手元にいくばくかの金があれば、私は本を買う。もしそれで残れば、食べ物や衣服を買う」という何かに取りつかれたような言葉、愛書家のイタリアのウンベルト・エーコ(1932~2016)の話は興味深かった。シミについての言及もあった。デジタル化が進み、何よりもタイパが大切らしい世代は、この生き物もいてこその、本の文化があることなどはいざ知らずなのだろうなと、少し寂しい気持ちにもなった。
『アガサ・クリスティー ねじれた家』(原題:Crooked House)
監督:ジル・パケ=ブレネール
出演:グレン・クローズ、マックス・アイアンズ、ステファニー・マティーニなど
2017年
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イギリスの作家アガサ・クリスティー(1890~1976)が、1949年に発表した同タイトルが原作。もちろん殺人ミステリーだ。まずは、犯人を明かさない程度の内容を。レストラン経営で大成功を収め、巨万の富を築いたギリシャ移民のアリスティド・レオニデスが不審な死を遂げた。孫娘のソフィアは、祖父は毒殺されたと考え、かつての、いっときの恋人で元外交官の私立探偵、チャールズに調査を依頼する。彼は情報を集めるため、レオニデス家の屋敷で過ごすようになるが、そこにいるのは風変わりな親族一同だった。全員が、家長であったアリスティドへの殺意を持っているようである。探偵事務所の維持費のためにも、チャールズは、事件をひも解いていかなければならなかった…。商売で大成功したお宅が舞台の話だ。3代しか続いていないので、名家にはなれず、まだ成金の名残のある一族だからこその、家長への蔑みや憎しみがそれぞれに表れていた。家や財は4代目から本番なのだろうということも。ちなみに、私は犯人を当てた。殺人ミステリードラマを見る時の楽しみと言ったら、見ている側が犯人を推理することだ。今回は、その人物が登場した時から「この人が犯人」と思いながらずっと見ていた。最後のシーンでは気の毒なことになるのだが、いたしかたない。アガサ・クリスティー作品は、NHKで「名探偵ポワロ」を毎回楽しみに見ていた。しかし、邦訳小説も読んだことがないので、これを機に読んでみたいと思った。