クリエイティブディレクターで映像作家の著者による、日常の不可解さを独自の分析で考察した27篇を収録した、2011年初版の本。もっと早く出合いたかった1冊だ。ふんわりとした文体だが論理的、そして、細やかな着眼点が非常におもしろい。エッセイに慣れた人で、思考を整理する方法や、問題解決能力、創造性、コミュニケーション力の向上を強化したい人にお勧め。
283ページ
発行:暮しの手帖社
クリエイティブディレクターで映像作家の著者による、日常の不可解さを独自の分析で考察した27篇を収録した、2011年初版の本。もっと早く出合いたかった1冊だ。ふんわりとした文体だが論理的、そして、細やかな着眼点が非常におもしろい。エッセイに慣れた人で、思考を整理する方法や、問題解決能力、創造性、コミュニケーション力の向上を強化したい人にお勧め。
11歳で中国甘粛(かんしゅく)省からアメリカに移住し、弁護士やプログラマーの顔も持つSF作家の作品。2015年の短編集『The Paper Menagerie and Other Stories』の邦訳単行本『紙の動物園』から7篇を収録した短編集で、本投稿では、同タイトル「紙の動物園」を扱う。舞台は、米国のコネチカット。主人公の「ぼく」であるジャックは、白人の父親と中国人の母親が両親である。カタログに掲載された「英語堪能で香港出身」の嘘のふれこみの母親を父親が買い、アメリカに呼び寄せ、誕生する。幼いジャックは、母親が作った折り紙の動物たちに癒され。しかし、成長するにつれ、アメリカ文化に同化しなければならないというプレッシャーを感じ、自分の伝統や母親から距離を置くようになる。大学生の時に、母親は病死するが、彼に遺した手紙で、ジャックは自分のルーツでもある彼女の生い立ち、そして我が母の、孤独と孤立を知ることになる。以上が物語の要約であるが、なんとも哀しい話だ。道を切り拓くとは、重い苦しみが付きまとい、さらに、家族ですら自分のことを理解しないのが人生なのだ。この世とアメリカは白人社会であり、彼らと彼らが作り上げた価値観によって、東洋人、ここでは中国人差別が存在する現実も、よく伝わった。自身を東洋人と思わず「白人」と思い込んでいる日本人の男性に頻繁に遭遇するが、そういう人以外に、本書はお勧めである。