Cコード:0053
A5判 160ページ
定価:2,200円+税
発行:世界文化社
1927年に、イギリス・ノッティンガムで生まれたブルース研究者で、建築史家の著者が、ブルースシンガーと周辺の関係者に取材し、まとめた、1965年初版の邦訳本。本書には、96年版の序文が加わる。著者は、公民権法が成立する前の60年、BBCの録音機を持ち、アメリカの南部や北部・中西部都市をフィールドトリップする。3カ月にわたる旅には、妻も同伴したという。著者が「話し込んだ」67人の声からは、彼らのバックグラウンド、根底にある感情などが伝わる。資料性の高い「ブルース・ストーリー」であり、ブルースとは何かを考えさせられる。私は、ヒップホップの90年代初頭のニュースクールに、リアルタイムで影響を受けた世代の人間だ。そのカルチャーから、ブルースという音楽にも興味を持つようになった。邦訳本の初版以降、時おり、本書を適当にぱっと開き、そこにある、ブルースピープルの誰かの言葉を聞く。元気づけられることが多い。
『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』(原題:Ex Libris: The New York Public Library)
監督:フレデリック・ワイズマン
出演:リチャード・ドーキンス、エルヴィス・コステロ、パティ・スミスなど
2017年
Amazon Prime Video
2017年にアメリカで製作された、ニューヨーク公共図書館が舞台のドキュメンタリー作品。同公共図書館は、本館と、4つの研究図書館、88の分館、計92の図書館のネットワークで成り立つ。1911年に本館が竣工し、アンドリュー・カーネギーらの寄付で、分館を増やしたという。図書館は、ある人たちにとっては、古くさい書庫の感覚の場かもしれないが、情報の宝庫であり、言葉から始まる対話や、コンピュータやインターネットに触れる機会は、万人に開かれていることがわかる内容だ。運営陣は、資金集めに苦労しながら、人々に利用してもらえるように努力している。そして、見事に、いろいろな立場の利用者が登場する。人間は「知性」を求めるものだと感じるし、それ自体が、力強く、前向きな生き方だ。同図書館のどこかの建物で、コンサートを鑑賞する、食事会が行われる場面など、日本の、地域の公立図書館や大学図書館、国会図書館を利用する私は驚いた。公立ではなく、公共図書館ということは大きいのかもしれない。尺の長い作品である。1990年代前半の、学生時代に見た黒人指導者をモデルにした映画よりも長かった。それでも、図書館が好きな人間には楽しめる。