Cコード:0040
A5判 160ページ
定価:1,600円+税
発行:カンゼン
成人期のADHDの認知行動療法、時間管理、集団認知行動療法が専門の心理学博士で、公認心理師、臨床心理士の著者が、習慣を見直し、時間を有意義に使えるようになるための方法をまとめた本。脳の仕組みを利用し、「欲求を満たしながら、我慢することなく悪習慣をやめる」技術の提案である。やり方は、ノートとペンを用意し、1日3分、4項目に対し1行書くというものだ。過度に、ゲームやSNS、映像作品、酒、食にはまっていた人たちの事例をあげ、この記録により、どのように好転していったかがつづられる。世の中には、やめたい習慣がない人もいるのかもしれないが、私にはある。中年期に突入してから、いくつかの悪習慣を、何年かかけて、自力でやめた。目標を達成した満足感を知っているのにもかかわらず、ほかにも、やめたいのにやめられない習慣がある。科学に基づいた、本書の方法はぜひ参考にしたい。自身が認知行動療法で生きやすくなったと言及する著者の言葉は励みになるだろう。
2021年に出版された、アメリカの組織心理学者による『Think Again』の、22年発売の邦訳本。思い込みや過信から生まれる誤りを理解したり、更新したり、発想を変えたりすることを提案した内容の本である。著者によると、私たちは、牧師、検察官、政治家、これら3つの異なる職業の、自分の信念は絶対的なものであり、考え直すに至らないといった思考法に陥りがちだという。そこで、仮説、実験、結果、検証する、科学の原則に従う考え方を取り入れることを勧めている。次に、自信と謙虚さについてふれ、自分の盲点に盲目になったり、知ったかぶりしたりすることなどに注意を促す。また、他人の心を開いたり、相手の先入観や偏見を説得する技術、対立を恐れずに理性的に反論する方法などに言及する。本書の巻末には「インパクトのための行動」として「再考スキルを磨くための30の秘訣」がまとめてある。総じて、傲慢にも卑屈にもならず、謙虚に強く、考え直すべきということが書かれている。大変難しい技である。世界の力のある人たちは、このような思考法で、交渉や契約、時に征服と支配を繰り返しているのだろうというのが私見だ。学びの多い1冊である。