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ブックリヴュー:『史上最強の人生戦略マニュアル』(フィリップ・マグロー 著、勝間和代 訳、きこ書房 刊)

 アメリカのコンサルタントで心理学士の著者による、1999年発表の『Life Strategies: Doing What Works, Doing What Matters』の邦訳本。2008年初版。人生のあらゆる場面で起きることの現実を受け入れ、否定、思い込み、惰性などを消し去り、人生改革のきっかけをつかむ方法が書かれている。本書は、狂牛病の危険性を発言したことで、誹謗中傷を受けたり、多額の賠償金を求められたりして、理不尽な窮地に立たされた、女優で司会者、実業家のオプラ・ウィンフリーのエピソードから、進んでいく。著者は「現実が間違っている」「自分が正しいことは自然と証明されるはず」と自分の殻にとじこもるオプラを説得したという。「自分の生き方や考え方、態度が「正しい」かどうか自問する代わりに、それでうまくいっているか自問」することが大切なのである。また、著者の言うことをきちんとやれば、人生が好転するであろう自分自身を知る術を用意している。「人生の次元」を知ることで、優先順位も見極めることもできるだろう。子ども時代に、小さな自分ではコントロールできないことで苦労した人の事例も出てくる。本を読める健康状態であることが前提だが、もし、この投稿を読んでいる人で、そうした環境で育ち、深い傷をおったまま大人になり、暮らしや人生に支障をきたしている人がいたら、ぜひご一読を。何かが変わるかもしれない。

ISBN:978-4-87771-330-0
451ページ
発行:きこ書房