ムーヴィーリヴュー:『シンプルな情熱』Passion Simple(ダニエル・アービッド 監督)

『シンプルな情熱』(原題:Passion Simple)
監督:ダニエル・アービッド
出演:レティシア・ドッシュ、セルゲイ・ポルーニン、ルー=テモー・シオンなど
2020年
Amazon Prime Video

 レバノン出身の女性、ダニエル・アービッドの監督で、フランスのノーベル文学賞受賞作家、アニー・エルノー原作の映画。離婚歴のある子持ちの女性と、若いロシア人男性の情事を描いた作品である。2人の関係の主導権は外交官であるロシア人が握る。女性の親友がその関係をとがめようと、子育てが上の空になろうと、大学で文学の教鞭をとるその女性の時間は男のために過ぎていく。いつか土地を去る相手と関係を持ったことのある人、相手のペースに合わせすぎた恋愛や不倫の経験者などは、過去や、人によっては現在と重ねて見るだろう。既婚者の立場は強く、手のかかる年代の子どもの存在は大きいと思わせる作品でもあった。映画は、2人の別れのシーンから始まり、そして、静かに終わる。