ムーヴィーリヴュー:『雨月物語』(監督 溝口健二)

『雨月物語』
監督:溝口健二
出演:京マチ子、水戸光子、田中絹代など
1953年
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 安土桃山時代が舞台の、欲望に翻弄される人々を描いた作品。貧農の陶工、源十郎は、若狭という女と知り合い、家族を捨てて生活を共にする。ところが、女は死霊であることがわかり、村に帰るが、妻は既にこの世にいなかった。源十郎は自分の過ちに気がつき、勤勉な陶工になる、というのがあらすじである。源十郎や義弟、村人や町人、足軽らの言動や行動からしても、人間は愚かな部分があり、さらには、技術が進化した現代人と変わらないということがよくわかる映画である。人によっては教訓にできることもあるだろう。原作は、江戸時代の読本作者、上田秋成(1734~1809)による『雨月物語』の「浅茅が宿」と「蛇性の婬」で、フランス人作家ギ・ド・モーパッサン(1850~93)の『勲章』も元になっているという。