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ブックリヴュー:『線が血を流すところ』(ジェスミン・ウォード 著、石川由美子 訳、作品社 刊)

 全米図書賞受賞を2回受賞したアメリカの女流作家が、2008年に発表した『Where the Line Bleeds』の邦訳本。南部が舞台の、双子の兄弟が主人公の話である。物語は、ジョシュアとクリストフが、高校を卒業するところから始まる。ハリケーン・カトリーナの後で仕事が少ない中、卒業後は、ジョシュアだけが職を得たが、クリストフはドラッグを売り始めることになった。そこへ、彼らを捨てて家を出ていた、ドラッグ中毒者となった父親と、良い仕事に就くために町を出ていった母親が現れ、双子は葛藤する。肉親や家族との絆は、支えであり、そう願う一方で、時に、苦しめるものであるという心情が描かれている作品だった。些細で小さな選択が、人生を左右するという、客観視もできた。双子たちが健全な大人になることを望みたい。

ISBN:978-4-86182-951-2
Cコード:0097
四六判 320ページ
定価:2,600円+税
発行:作品社