ムーヴィーリヴュー:『長崎ぶらぶら節』(監督 深町幸男)

『長崎ぶらぶら節』
監督:深町幸男
出演:吉永小百合、原田知世、高島礼子、原田知世、藤村志保、いしだあゆみ、渡哲也など
2000年
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 なかにし礼(1938~2020年)の小説が原作の、明治から昭和が舞台の映画である。長崎の花街丸山で、10歳から奉公し、三味線と唄に秀でた芸者愛八と、長崎の郷土研究家の古賀十二郎の、中年の恋の物語だ。長崎の古い唄を探すために、2人は老芸者らを訪ね歩く。忘れられた名曲「長崎ぶらぶら節」にも出会うが、旅が終わる頃には、2人の関係は終わる。古賀は妻を選んだ。吉永小百合扮する愛八の死ぬ間際の言葉は「会いたか、古賀先生」。古賀は、別れた後に、愛八に誠意を金銭で尽くすが、人格者で知られた故渡哲也が演じることで、男の狡さが際立ち、見ている側をやきもきさせる。さらに、愛八は、略奪してでも古賀と一緒にいたほうがよかったのではと。芸者や妾の役がよく似合う吉永小百合、「長崎ぶらぶら節」を披露する長崎出身の原田知世、強気な女の役がぴったりな高島礼子、子役時代から可哀そうな人を演じるのが上手い高橋かおりなど、女優ウォッチも楽しめる作品だ。大叔父が古賀十二郎に師事していた。興味深く映画を鑑賞した。