Cコード:0077
B5判 96ページ
定価:1,545円+税
発行:主婦と生活社
カリブ海のグアドループ出身のフランスの作家マリーズ・コンデ が、2015年に発表した『Mets et merveilles』の邦訳本。1934年に生まれた作家の自伝であり、旅行記、青春物語、料理本ともいえる多面的な作品だ。レシピを随所に散りばめ、他者とのつながりについてつづっている。老齢や病気によって手を動かせないコンデが語り下ろし、口述筆記をイギリス人の夫が行ったという。私は、20年以上前に『心は泣いたり笑ったり:マリーズ・コンデの少女時代』(青土社刊)で、初めてクレオール文学に触れた。裕福な家庭で育った、20代前半までのコンデについて詳しい本である。同じ作家が書いているので当然だが、本書は、その延長線上にあり、贅沢な気持ち浸れる内容であるのに加え、人種やジェンダーについても考えさせられる。コンデが日本の作家の本を多数読んでいたことや、日本を旅した時のエピソードは、大変興味を引いた。
『レ・ミゼラブル』(原題:Les Misérables)
監督:ジャン=ポール・ル・シャノワ
出演:ジャン・ギャバン、ダニエル・ドロルム、ベルナール・ブリエ、セルジュ・レジャーニなど
1957年
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フランスのヴィクトル・ユーゴー(1802~85)が1862年に発表した小説が原作で、ジャン・ギャバン(1904~76)主演の古い映画。パンを盗んだ罪で19年間投獄されたジャン・バルジャンが、出所後にとある司教の慈悲によって改心し、新たな人生を歩む、というのが、大まかなストーリーである。原作の邦訳本もいくつかの出版社から刊行され続け、映像作品も何ヴァージョンもあり、芝居作品も上演され続けている。私は、子どもの頃、ねむの木学園の宮城まり子の語りのTVアニメ「まんが世界昔ばなし」で、その後は、児童文学や、新潮社の文庫版で、同タイトルに触れた。大学時代は、文学以外のクラスでジャヴェールに焦点を当てたリポートを書いた覚えがある。おそらく映画も見ているが、自分で選択して鑑賞するのは初。ジャン・ギャバン作品も初めてである。昔の俳優さん、声が良く、顔の骨格がしっかりしていて、見ていて不安にならない。ところで、同タイトルの作品が映像化される理由は何か。人を許すことは人間にとって本当に大切なのか、果たして暴動で世の中は変えられるのかなどを考えた。ユーゴーが発表した年は、日本が明治時代を迎える6年前だった。また、自分で始めた商売を成功させることが心の余裕を生むなども。ジャン・バルジャンは、商才に秀でた人間だった。受け手の状況などによって見方が変わるのも、名作の醍醐味だろう。
イギリス出身のアメリカ人で、交渉術の講師をやっている著者がまとめた『Secrets of Power Negotiating』の邦訳本。影響力を得るための戦略、交渉スタイルの理解、ビジネスや個人的な状況における交渉スキルを向上させるための方法が書かれた本だ。もともとは、1987年に、カセットプログラムとして発売されたものだという。交渉は、人生の様々な局面で応用できるスキルで、価格のほか、価値に焦点を当てることが重要と説く。また、相手の要求を理解することは極めて大切とも。私見では、交渉術は、持って生まれたものにも感じていて、赤子の頃からその能力に長けた天才的な人はいる。もしも、凡人、かつ、自分の要求を勝ち取れていない人生を歩んでいないのであれば、ロングセラーの本書を読んだ方がよいだろう。計算に強く、狡猾と紙一重の賢さ、優位に立てる肩書や社会的立場も得た方がよい。
国や公共のインフラに頼らず、自給や地域の力を活用して、土砂災害や豪雨災害、地震などに備える、40の方法をまとめた本。農村には、自然の力を生かし、災害を小さくする知恵や技が存在するという。こういうアイデアがあるのかと感動を覚える本だ。個人レヴェルでは、PART1の「電気・トイレ・ふろ・食べもの」が役立つだろう。とはいえ、普段やらないことをいざという時にできるかは不明。トイレについては、私の場合、携帯トイレを持っているが使う練習をしたことがない。しかし、やったほうがよいのだ。また、夫婦2人の1週間分の排泄物は33.6kgとのことなので、それなりの準備は事前にしておかなければならない。PART4の「早期避難で生き抜く」は、その時がきたら思い出せるかわからないが、キーワードをここに記しておく。防災マップやハザードマップ、井戸の活用などだ。生きるか死ぬか、色々と考えさせれる1冊。