日: 2024年4月28日

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    ブックリヴュー:『蹴りたい背中』(綿矢りさ 著、河出書房新社 刊)

     著者が19歳の時に、2003年下半期芥川賞を受賞した作品。事前の情報はこのくらいで、読み進めた。周囲に溶け込めない主人公の初実ハツが、同級生の男子、にな川と心を通わせる話である。自分の高校時代は、暗い思い出ばかりだから、この年代の話は、構えてしまうのだが、過去の記憶が良いものに変わりそうなくらい、爽やかな印象の残る青春小説だった。「さびしさは鳴る」の冒頭も良かった。読了後、この書き出しが評価の高いものであることを知った。名作に触れられ、大変満足。

    ISBN:978-4-309-40841-5
    Cコード:0193
    192ページ
    定価:450円+税
    発行:河出書房新社