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ブックリヴュー:『「ひとりが好きな人」の上手な生き方』(ティボ・ムリス 著、弓場隆 訳、ディスカヴァー・トゥエンティワン 刊)

 自分が内向型人間であると自覚したのは10代前半だ。一見、社交的、騒がしいグループにいるが、実は、内にこもり、1人で考えていたいタイプだった。少人数で話したり、ピアノを弾いたり、本を読んだりしている時がしっくりときた。外向性が素晴らしいという風潮で、ネクラという言葉に救われ、惹かれながら、人付き合いに苦労する中高時代だった。その後は、単独行動をよしとしたり、内向型の人ばかりのコミュニティに身を置いていたりしたので困ることはなかった。しかし、中年以降は、自分の意志に反し、外向型人間が主流の場に居合わせることは多々だ。数十年以上経っても変わらない風潮は存在するのだ。本書では、フランス出身のビジネスコーチが、「内向性を才能として社会のために役立てる最良の手段は、自分のそうした性格を適切に評価することだ」とし、「ひとりが好きな人=内向型」が、生きやすくするための方法を指南する。まず、10の指針をあげ、その後、内向性の理解、受け入れ、その性格を最大限に活かして、本来の力を発揮し、追及する道を説明する。自身の内向性を早くに気づいていた読者であれば、すでに日常化していることもあろう方法や、もしかしたら自分は内向型なのかもしれないという人には、役立つことがつづられている。そんな中、著者は、外向型人間の特徴にも触れる。目が鱗であった。長い間、ぼんやり分析していた彼らについてよく知るべきだったと思った。

ISBN:978-4-7993-2976-4
188ページ
価格:1,500円+税
発行:ディスカヴァー・トゥエンティワン