昔の林学者で造園家、学者でありながら、巨万の富を築いた本多静六が、晩年にまとめた生きる上での処世術をまとめた一冊である。自分の「暮らし方・考え方」を戒めるために、時折、読み返す。年齢を重ねるごとに、この人が言っていることは、間違っていないと思うことが増えてきているようにも思う。江戸時代の終わりに生まれた男性が書いたもので、デジタルの世界になった現代であってもだ。食事、昼寝を含む睡眠、歩行、性生活、衣類、住居と合理的な室内、仕事の進め方、時間の使い方、買い物、住居、人付き合い、情報収集とまとめ方、勉強法、旅行、語学の習得、貯蓄、商売、投資など、今の時代も、人々が、そして私も、気にすることが詰まっている。「ウデの人からアタマの人へ」では、まず、技術の人になり、その後に、事務の人になりなさいと説く。事務の人が、途中から技術の人になるのは難しいとも言及している。これも、近年、私が強く感じることだ。時代を超えて、読み継がれて欲しい。
ISBN:978-4-408-55123-4
Cコード:0195
文庫判 224ページ
定価:600円+税
発行:実業之日本社