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ブックリヴュー:『103歳の食卓 母とつくり上げた卓上クッキング』(荻野恭子 著、プレジデント社 刊)

 栄養士で料理研究家の著者は、65カ国以上で土地の料理を学び、世界の家庭料理を提案してきた。しかし、自身の母親の阿部ハルさんが103歳で亡くなったのを機に、「母の生活の知恵」を伝えていきたいと考えるようになったという。生前のハルさんの毎日には、リズムのよい時間が流れた。朝は軽い運動からはじまり、身だしなみを整え、美容にも気をつけた。好奇心旺盛な行動をとり、お風呂ではマッサージを行った。食事の前には口の周りの筋肉を鍛える体操を行った。一日の予定を決め、記録した。料理を大切にした。肉や赤ワインが好物だった。人との交流を楽しんだ。「料理をするのがちょっとしんどい」というハルさんが85歳の頃、「卓上クッキング」が始まる。食材、卓上で使える調理器具、うま味の出るものなどを食卓に並べて、座って、調理する。「ポリ袋でモミモミ」なども名案だ。写真の料理は、どれも、とてもおいしそうだ。既に「卓上クッキング」を実践している、長年、料理を大切にしてきたが、台所に立つのがきつくなった高齢者や、自宅でリハビリ中の人などは、共感を覚えるだろう。穏やかに歳を重ねるためのヒントが詰まった一冊である。

ISBN:978-4-8334-4057-8
Cコード:0077
A5判 128ページ
価格:1,500円+税
発行:プレジデント社