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ブックリヴュー:『ブルースと話し込む(Conversation with the Blues)』(ポール・オリヴァー 著、日暮泰文 訳、土曜社 刊)

 1927年に、イギリス・ノッティンガムで生まれたブルース研究者で、建築史家の著者が、ブルースシンガーと周辺の関係者に取材し、まとめた、1965年初版の邦訳本。本書には、96年版の序文が加わる。著者は、公民権法が成立する前の60年、BBCの録音機を持ち、アメリカの南部や北部・中西部都市をフィールドトリップする。3カ月にわたる旅には、妻も同伴したという。著者が「話し込んだ」67人の声からは、彼らのバックグラウンド、根底にある感情などが伝わる。資料性の高い「ブルース・ストーリー」であり、ブルースとは何かを考えさせられる。私は、ヒップホップの90年代初頭のニュースクールに、リアルタイムで影響を受けた世代の人間だ。そのカルチャーから、ブルースという音楽にも興味を持つようになった。邦訳本の初版以降、時おり、本書を適当にぱっと開き、そこにある、ブルースピープルの誰かの言葉を聞く。元気づけられることが多い。

ISBN:978-4-907511-25-8
283ページ
発行:土曜社