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ブックリヴュー:『邱飯店交遊録 私が招いた友人たち』(邱永漢(きゅうえいかん) 著、中央公論新社 刊)

 2012年に88歳で亡くなった台湾出身の実業家、作家、経済評論家、経営コンサルタントだった著者は、食道楽で、友達を自分の家へ招くことが好きだったという。本書は、1955年第34回直木賞受賞前の54年から29年間の、自宅の料理「邱飯店」でのもてなしや、招待した人たちについてつづった、1983年発行『邱飯店のメニュー』を改題した本である。登場する人は、佐藤春夫と檀一雄にはじまり、日本史に名を残すような人や、その道の一流の人ばかりが名を連ね、驚く。出てくる料理は、高級食材による凝った調理法のものから、ひと工夫のある家庭料理など、どれもおいしそうだ。読者が料理をする人なら、食材や方法など、何かを取り入れたいと思うに違いない。私の中では、実業家と投資家のイメージが強い著者だった。食に興味があるからこそ、ビジネスや投資で成功できるのかもしれないと思った。

ISBN:978-4-12-207257-2
Cコード:1195
文庫判 288ページ
定価:900円+税
発行:中央公論新社