アメリカやカナダなどで活躍する神経科学者で認知心理学者の著者が、2016年に発表した『A Field Guide to Lies: Critical Thinking with Statistics and the Scientific Method』の邦訳本。誤報、擬似事実、事実や真実の歪曲と、信頼できる情報はどう区別すればよいのかという内容だ。誤解を招く発表、統計やグラフ、報告書などを鵜呑みにせず、常に批判的な目線で吟味することが大切だという。著者の言うことは正しく、私も常日頃から気をつけている。そして、情報の信憑性を決めるのは難しいと感じる。疑うには、何かしらの、とっかかりが必要なのだ。さらに、あらゆる種類の権威、メディアや媒体、広告代理店、通信、コンピュータ、インターネット自体の、歴史や構造なども知らないと、発信者(社)の思う壺とも考える。一方で、情報への疑いが深すぎると、社会で孤立しやすくなるのはたしかだ。これを避けるために、人によっては、フェイクの情報とわかっていても、それを信じることがあるのではないかとも。情報化社会になり、それにすっかり慣れてきたが、何かが違うと少しでも感じている方は、ぜひ本書を読んでみて欲しい。
Cコード:0036
文庫判 341ページ
定価:1,800円+税
発行:パンローリング