Cコード:0055
B5変型判 200ページ
定価:2,000円+税
発行:SBクリエイティブ
本書は、2019年に88歳で死去した、アメリカのノーベル文学賞受賞作家が、1973年に発表した第2作の邦訳本だ。1919年から65年までのアメリカ・オハイオの集落を舞台とした、ネル・ライトとスーラ・ピース、2人の女性の関係を通し、その黒人共同体の移り変わりを描いた物語である。生い立ちの違いも大きく、12歳で出会った2人の性格は真逆であった。そして、ネルは、善良で常識的、スーラは、型破りで欲望的、破滅的ともいえる大人になっていく。スーラは、ネルの夫を寝取り、夫婦生活に終わりを告げるということにもなった。最後の章では、集落の多くの人が亡くなるトンネル事故が描かれる。2人の間に友情などあったのか、執着でバランスを取っていたとも考えられるが、執着しすぎる関係だったのではないか。今回、久しぶりに本作を読んで思ったことだ。同時に、死に向かっている生きる人間は、欲に忠実に生きたほうが良いとも。トンネル事故は、メタファーにも感じるのだ。
『細雪』
監督:島耕二
出演:京マチ子、山本富士子、轟夕起子、叶順子など
1959年
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1959年制作の『細雪』は、関西の、原作では大阪・船場の、没落した商家の姉妹の関係、女性の結婚観などが描かれた作品である。谷崎潤一郎の長編小説をそのまま再現した内容ではない。しかし、その違い探しや、鶴子役の轟夕起子、幸子役の京マチ子、雪子役の山本富士子、妙子役の叶順子のほか、登場人物の洋装や和装、インテリアのチェック、音楽などが楽しめる作品である。また、家柄や社会的なクラスがはっきりしていて、あからさまに人を見下すことが許容された時代であったこと、現代に比べると医療は進化しているということなども、作品を通してわかる。昭和生まれの人なら、その名残をご存じの方が大勢いると思うが、若い方は、この作品を見たら驚くに違いない。昭和生まれの人と共存するために、こうした時代があったということを知るには良い資料になるだろう。私は、学生時代に読んだ原作の方がおもしろいと感じるのだが、ここ数年、京マチ子の作品に凝っており、この大女優が出ている作品を選んだ。