ドイツ・ミュンヘン出身のエッセイストが「心地よい生活」を送る方法を提案した本。ドイツ人の父と日本人の母をもち、日独両方が母国語の著者は、23歳までをドイツで過ごし、日本には25年在住である。本書では、ドイツ人が、散歩を大切にし、そのために靴選びを慎重に行う話から、著者の日本での運動法や住居選びのポイント、両国の日常生活へのお金をかけ方の違い、結婚や年齢への価値観、時間の使い方、睡眠、進路と職業、人付き合い、恋愛まで幅広く取り扱う。たまたまドイツとドイツ人に縁がある私は、納得しながら読んだ。女性たちがヒールを履かないことも含め、色々な社会と経済階層の人たちに共通する行動や生活観、人生観と全く同じなのである。お国柄なのだ。読者の中でドイツと無縁な人がいたら、本書で書かれていることが「ドイツ人は質素で地味すぎるのではないか」「ドイツ人はなぜお金を使わないのか」と感じるかもしれない。しかし、その質素で地味でお金を使わない生活は、十分な睡眠、歩行による運動、ハムやチーズやパンなどタンパク質たっぷりの調理や後片付けに時間をかけない食事、仕事とは関係ない友達と恋愛対象がいる、というものだ。無理なくストレスの生活を目指している場合、ヒントや発見が必ずあるだろう1冊である。著者が勧めるレストランは、星を5つ送りたい。
Cコード:0095
四六判 224ページ
定価:1,500円+税
発行:自由国民社