日: 2024年3月30日

  • ムーヴィーリヴュー:『レ・ミゼラブル』 Les Misérables(監督 ジャン=ポール・ル・シャノワ)

    『レ・ミゼラブル』(原題:Les Misérables)
    監督:ジャン=ポール・ル・シャノワ
    出演:ジャン・ギャバン、ダニエル・ドロルム、ベルナール・ブリエ、セルジュ・レジャーニなど
    1957年
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     フランスのヴィクトル・ユーゴー(1802~85)が1862年に発表した小説が原作で、ジャン・ギャバン(1904~76)主演の古い映画。パンを盗んだ罪で19年間投獄されたジャン・バルジャンが、出所後にとある司教の慈悲によって改心し、新たな人生を歩む、というのが、大まかなストーリーである。原作の邦訳本もいくつかの出版社から刊行され続け、映像作品も何ヴァージョンもあり、芝居作品も上演され続けている。私は、子どもの頃、ねむの木学園の宮城まり子の語りのTVアニメ「まんが世界昔ばなし」で、その後は、児童文学や、新潮社の文庫版で、同タイトルに触れた。大学時代は、文学以外のクラスでジャヴェールに焦点を当てたリポートを書いた覚えがある。おそらく映画も見ているが、自分で選択して鑑賞するのは初。ジャン・ギャバン作品も初めてである。昔の俳優さん、声が良く、顔の骨格がしっかりしていて、見ていて不安にならない。ところで、同タイトルの作品が映像化される理由は何か。人を許すことは人間にとって本当に大切なのか、果たして暴動で世の中は変えられるのかなどを考えた。ユーゴーが発表した年は、日本が明治時代を迎える6年前だった。また、自分で始めた商売を成功させることが心の余裕を生むなども。ジャン・バルジャンは、商才に秀でた人間だった。受け手の状況などによって見方が変わるのも、名作の醍醐味だろう。