日: 2024年3月31日

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    ブックリヴュー:『料理と人生』(マリーズ・コンデ 著、大辻都 訳、左右社 刊)

     カリブ海のグアドループ出身のフランスの作家マリーズ・コンデ が、2015年に発表した『Mets et merveilles』の邦訳本。1934年に生まれた作家の自伝であり、旅行記、青春物語、料理本ともいえる多面的な作品だ。レシピを随所に散りばめ、他者とのつながりについてつづっている。老齢や病気によって手を動かせないコンデが語り下ろし、口述筆記をイギリス人の夫が行ったという。私は、20年以上前に『心は泣いたり笑ったり:マリーズ・コンデの少女時代』(青土社刊)で、初めてクレオール文学に触れた。裕福な家庭で育った、20代前半までのコンデについて詳しい本である。同じ作家が書いているので当然だが、本書は、その延長線上にあり、贅沢な気持ち浸れる内容であるのに加え、人種やジェンダーについても考えさせられる。コンデが日本の作家の本を多数読んでいたことや、日本を旅した時のエピソードは、大変興味を引いた。

    ISBN:978-4-86528-377-8
    Cコード:0098
    四六判 304ページ
    価格:3,800円+税
    発行:左右社